先月、総務省統計局の家計調査年報をご紹介しました。今回は総務省統計局が提供している地理情報システム「jSTAT MAP」のご紹介です。家計調査年報の記事とあわせて読んでいただければ、統計に関する理解が深まると思います。
jSTAT MAPとは?
jSTAT MAPとは、統計データを地図上に表示して、地域ごとの特徴を視覚的に捉えることができる、誰でも使える無料の地理情報システムです。
家計調査年報もそうですが、細かいデータを手軽に分析できるように無料使えるサービスとして提供しているのには驚かされます。そしてそのサービスがほとんど知られていないのが残念です。
jSTAT MAPで流山おおたかの森を分析
では早速jSTAT MAPを使ってみてみましょう。
ユーザー登録無しでも使えますが、ユーザー登録すると詳しいデータがダウンロードできるようになるので、登録して使うことをお勧めします。身近なところで、流山おおたかの森の人口を見てみましょう。
右下の統計地図作成→レポート作成を選択して
リッチレポートの作成へと進みます。
色々選択できますがこのままで問題ないので、次へ。
今回は、流山おおたかの森駅を中心に半径0.5km、1km、2kmの同心円を調査します。リッチレポートの作成→ダウンロードで、エクセルファイルをダウンロード。
人口ピラミッドはこんな感じでした。千葉県全体(緑色)と比べて、エリア内(紺色)は、子どもや30〜40代が多く、お年寄りが少ないですね。子育で世代が多く住んでいることが分かります。
2015〜2020年で、駅周辺は1万人以上人口が増えているようです。社会全体で人口が減少している中、すごいですね。
ピザ屋の出店計画
競合店の商圏調査
jSTAT MAPは選択したエリアを分析するだけでなく、地図上にお店やエリアをプロットすることができます。流山周辺で主要な宅配ピザ屋をプロットしてみました。商圏(細い赤い丸)は半径2kmにしています。
新三郷駅の北側にはポッカリと空白地帯がありますね。このあたりは埼玉県吉川市大字三輪野江のようです。ここも同様に半径2kmで分析してみましょう。
埼玉県全域と比較して高齢者が多く、60歳以下の割合は少ないのが特徴でした。先程の流山おおたかの森と比較すると、江戸川を隔てただけなのに、大きな違いですね。
市場規模の算定
おおたかの森駅2kmは3.5万世帯ありましたが、こちらは1.2万世帯でした。ここに宅配ピザを出店することを考えてみましょう。
ピザ協議会がまとめた「ピザマーケット推計値」によると、2022年度の市場規模は3278億円。そして、2022年の世帯数は5431 万世帯。割り算すると、1世帯あたりの1年間の宅配ピザへの支出は6035円となります。1年に1回くらい注文する程度なので、なんとなく合ってそうな感じです。
埼玉県吉川市で宅配ピザを開店して、半径2kmを商圏とすると、6035円×12622世帯=7617万円の市場になりそうです。
シェア率と売上の想定
もちろん、既存のお店もあるので7617万円は独占できません。販促をがんばって20%のシェアを取れたと仮定しても、年商1433万円、月商で119万円です。
製造原価30%とすると粗利で83万円。アルバイト3人(調理1名+配達2名)の人件費は 3人×時給1100円×12時間×30日=118万円。この他に家賃や光熱費を考えると、黒字になるのは難しそうですね。
最後に
今回はjSTAT MAPを使って、選択した地域の分析と競合店の立地を確認して、ピザ屋の出店の計画を検討してみました。実際の出店計画では、駅の利用者数や昼夜間人口差、店舗前の交通量、歩行者数なども検討する余地がありますが、とりあえずの分析としては十分でしょう。
今回のjSTAT MAPのエクセルデータが欲しい方がいらっしゃいましたら、下記からダウンロードして下さい。
他にも何か分析・調査してほしいことがありましたら、お気軽にお問い合わせ下さい!
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