町工場の娘 (ダイヤ精機代表取締役社長 諏訪貴子氏)の講演を聞いて

ちょっと前になりますが、11月8日に中小企業経営診断シンポジウムに参加してきました。

世間的には全く知られていませんが。「中小企業診断士」の制度が始まった「中小企業診断実施基本要領」が昭和23年11月4日に制定されたことを記念して、11月4日は「中小企業診断士の日」となっています。前後1週間を中心に、全国で中小企業診断士のPRイベントが開催されています。

東京では11月8日に東京ガーデンパレスでイベントが開催されて、無料経営相談会や研究発表が行われていました。

そのイベントの中で、ダイヤ精機株式会社 代表取締役の諏訪貴子氏の基調講演がありました。「町工場の娘」としてドラマにもなった方の講演ということで、現地でもオンラインでも多くの方が参加していたのが印象的です。

その講演では氏が登壇する横に大きな花が飾ってあったのですが、講演の冒頭で氏がその花の移動を依頼することがありました。

花瓶の移動を依頼するイメージ

その理由は、氏から見て右手に座っている方の顔が見えないということでした。一人ひとりの目を見て講演を行いたいと言うのが氏の希望だったのです。多くの人の前で話すことは誰だって少なからず緊張するものだと思いますが、その中で一人ひとりに相対して話をしたいという氏の言葉に感銘を受けました。

父の急逝に伴い、急に町工場を事業承継して、色々失敗しながらも最後には世界的に有名な企業に大躍進させた。そんなストーリーで語られがちな経営者ですが、結局の所は極めて単純な「人の目を見て話をする」に成功の理由があるのかもしれません。私も中小企業の支援の際には、経営者の目を見て話をする姿勢を忘れないようにしたいと思います。

伴走支援勉強会

千葉県中小企業診断士協会主催の「伴走支援勉強会」の運営に携わらせていただきました。Zoomの司会は何度やっても慣れなくて緊張します。

ちなみに伴走支援とは現在経済産業省が進めている施策で、下記のように定義されています。

①経営課題の設定のための支援を強化すること、②経営改善や成長のために実行していくべき方針の内容に経営者が「腹落ち」することにより企業の潜在力を引き出すことは、いずれもすなわち中小企業、小規模事業者の経営力を強化(再構築)することに繋がる。よって、このような支援モデルを「経営力再構築伴走支援モデル」と称することとする。

出典:経済産業省 伴走支援の在り方検討会報告書
https://www.meti.go.jp/press/2021/03/20220315002/20220315002-1.pdf

これまで企業の販路開拓や資金繰りなどの課題を解決するための助言を行う支援だったものから、一歩引いた視点で経営課題の設定からの支援を行うものになります。

出典:経済産業省 官民合同による伴走型支援について
https://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/bansou/index.html

補助金の申請支援などで事業計画書を作成して、手っ取り早く成果報酬をいただくのに対して、伴走支援は長期間の支援となります。やりがいがある分、責任感も重大です。

勉強会の講師の今井和夫先生からは、「中小企業診断士の仕事はたくさん勉強して自分自身も成長し、支援企業から感謝されてお金がもらえる、大変幸せな仕事である」という言葉をいただきました。いつか自分もそんな素敵な言葉を後輩に伝えられたらいいなと思います。

埼玉県中小企業診断協会 スキルアップ研修

埼玉県中小企業診断協会主催のスキルアップ研修に参加してきました。(ちなみに埼玉県の協会は「診断士」の「士」が入っていないので、キーボードで入力する時にいつも間違えてしまいます。)

埼玉県協会は私の所属する千葉県協会よりも会員数が多く、研修の運営がしっかりしていたのが印象的でした。例えば上の写真のインタビューボード。これがあるだけで不思議と「ちゃんとしている感」が出るんですよね。千葉県協会でも購入するように理事会に提案したいと思います。

研修で印象に残ったことは色々ありましたが、埼玉県会長の髙澤彰先生が「補助金の申請書作成だけの支援依頼はお断りしている」という話をされたことです。これは、そもそも事業計画書は経営者が作成するものであり、中小企業診断士は企業の経営力を高めることを支援するものであるという、崇高な使命感が根底にあります。

出典:企業診断ニュース2021年5月号

補助金の申請支援件数や補助金の額は数値化しやすいので、実績をアピールする際に使用されがちですが、中小企業診断士として大切な根本を見失わないようにしないといけないなと痛感しました。